@particle30

惑星イオはどこにある

2017-01-01から1年間の記事一覧

魔性の子

帰りたいと思うことがある。帰り道の途中でも。ベッドのなかにくるまっているときでも。実家に戻って出された梨をのんびりむさぼる昼下がりにも。 どこかに帰るべき場所があるのではないか。わたしを待っている世界があるのではないか。玉座が用意され、赤い…

コミティア121参加について

膨大な時間を置かなくてはブログ記事が書けない呪いにでも侵されているのか? というぐらい前(※一ヶ月前)の話になってしまいましたが、コミティアに参加しておりました。 以前の文フリとはうってかわって、フォロー関係にある皆様との交流がメインだったよ…

月と六ペンス

偉大なる小説は、冒頭三文に必ず神が宿る。*1 その教理に基づくならば、「月と六ペンス」はページをめくったその瞬間に「偉大」であることが判明する稀有なる小説だった。*2 月と六ペンス (新潮文庫) 作者: サマセットモーム,William Somerset Maugham,金原…

祖母について

祖母のことを書いておこうと思う。わたしが祖母について知ることのすべてを。 あまりまとまりある記事を書くつもりはない。わたしはとにかく、現時点のわたしの頭のなかにある祖母の情報を、すべてここに書き出してしまいたいのだ。ひょっとすると年を追うご…

人喰いの大鷲トリコ

――思い出の中のその怪物はいつも優しい目をしていた―― www.jp.playstation.com 恐ろしく感動した。 これほど質感を持って、体温のような生ぬるい暖かさを感じる、あとあとまで尾を引く物語は初めてかもしれない。 もちろん今までも、偉大な物語にはたくさん…

寄宿舎の秘密

minne.com ※とても遠回りな記事で、ごめんなさい。 伊藤裕美さんの「寄宿舎の秘密」を拝読しての記事となります。 「ここは牢屋」 と、彼女が言うので、わたしは苦笑いを返した。 彼女の言いたいことが分かるような気もしたし、分からないような気もした。 …

「標本」と文学フリマ東京24回について

もう三か月も前のことになってしまったが、初めての短編集「標本」を頒布致しました。五月七日、文学フリマ東京24回。スペースはエ-28、人生で初めての本を持っての参加でした。文学フリマへは一般参加も初めてでした。 ■初めての本 初めての体験、というの…

夢にも思わない

※宮部みゆき「夢にも思わない」のネタバレがあります。 夢にも思わない (角川文庫) 作者: 宮部みゆき 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2002/11/01 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 9回 この商品を含むブログ (73件) を見る その少女は私よりも数段、…

外科室

※後半に泉鏡花の掌編小説「外科室」のネタバレがあります。青空文庫ですぐ読める模様。 泉鏡花 外科室 たったひとりの「きみ」を、あなたは持っているでしょうか。中学のころ通っていた塾は、高校受験に必要ない知識まで存分に教えてくれるふしぎなところだ…

コンビニ人間

えっ、きみ芥川賞なんて読むんだ。とかれは言った。 読みますよ。毎回じゃないですけど。直木より芥川が好きです。へえそうなの、意外だなあ。直木賞すら好きじゃないかと思ってた。どういうことですか、むしろどんな本を読むと思ってたんです? って私が聞…