イベントレポート:11/22文学フリマについて
11/22、文学フリマに出店してきました。
どのようなスタンスでこの記事を書くか、というところについて少し悩んでみたりもしたのですが、「イベントレポート」ということで、久々に参加した文学フリマの様子をできるだけ細かく残しておこうかなあと思います。
またレポートとしては副次的なものではありますが、今回とった感染症対策のことなども少し書いておこうと思います。自分がこういった状況下においてイベント出店するにあたり、出店前には対策方法や部数のことなどをいろいろ知りたくて検索して色んなブログ記事にお世話になりました。それを少しでもお返しできればと思います。
と思って色々書いていたら無駄に長くなってしまった。前半は、イベントレポートとしてお読みください。(後半はふつうに本の話をしています)
感染症対策について
というわけでまず比較的有益そうな情報からいくか……感染症対策について。この辺のことをしました。
・コイントレーでのお金受け渡し
(これは見た限りほぼ全てのサークルがしていました。購入者側も慣れている感じ)
・受け取ったお金とお釣りのお金を混ぜない
(効果のほどは分かりませんが、一応そうしていました)
・消毒液の設置
(ちゃんと数えていませんが置いているブースさんは多かった。うちのブースは実際使っていたのはお一人かお二人ぐらいでしたが、まあでも、自分が一番使うので、確実にあったほうがいいです。ついでにお客さんも使えるという感じにしていると良いのかなと。こぼしても大丈夫なように下にはガラス板置いておきました)
・金銭やり取りや本のやり取りをしたあとは、都度手の消毒
(自分が万が一無症状で掛かっていたとしても他人にはうつさない、というぐらいの心持で……)
・隣のブースの人とあまり近くならないようなブースデザイン
(左隣さんが2名参加、右隣さんが1名参加でした。左隣さんと一緒の机を使い、右隣さんとは少し机と机の間が開いていました。ので、比較的右寄りに座るようにして両サイドと肩等が触れ合わないようにしました。当日のその状況を見てブースデザインも左右反転させたので、ある程度そのように都合がつけられるようにしておくといいかもしれません)
・簡易パーテーション
(大袈裟なものを作る時間がなかったので、東急ハンズで吊るし+A4ブックカバーを買って代わりにしました)
・立ち読み用の本にはカバーをかけ、定期的にアルコールで拭く
・Pixiv Payでもお支払い可能に
(あまり大きく書いていなかったこともありますが、ご利用者はゼロでした。)
→※これ、正直手が触れ合う機会をほぼなくすという意味で一番いい対策だと思うんですが、Pixiv Payは2020年12月にてサービス終了だそうです……
・アルコールティッシュ、雑巾がわりの古いハンカチ、を持っていきました。ざざっと気軽に色々拭けてよかったです。
ブースはこんな感じ
設営できました!13時まで離席します。みなさんの本を買いに行くぞ、、! pic.twitter.com/TlDHiEDuco
— mee@文フリ【オ-17】 (@particle30) 2020年11月22日
パーテーションについて。正直なところ、ついつい何度か立ち上がってしまったのでパーテーションを上に越えてしまいましたが……まあでも半分以上の方とはパーテーション越しでお話できたと思います。
本当に完全に覆いたいなら、ブース両脇にパイプ立てるレベルのかなり壮大な装備が必要そうです。壁サークルさんだとそうしてる方もいらっしゃいましたが、まあ少数派ではありました。
また、公式の対策・処置としては以下をとってくれていました。
・会場の各所にアルコール消毒液設置
・入場制限
・COCOAインストール必須 / マスク着用必須 とし、入り口で確認
また、朝は11時ぐらいから行きました。まったく並ばずすぐ入れました。いつもだと、早くいかないとトランク広げづらいとか、ブースの外と中を往復するのが人が多いと大変とかとかがあったのですが、今回は色んなところの余白が大きくとられている&机と机の間が通れる程度に空いているのでブースの中と外もすぐ行き来できる、という感じでかなり設営しやすかったです。
当日から起算して二週間前ぐらいまでは、わたしもかなり楽観的な気持ちだったのですが、11月22日に向かうにつれて東京の感染者数がぐんぐんと伸びていき、これは少しでも遠方の方は本当に来づらい状況だろうなあと思うようになりました。元々「ぜひ来てくださいね」とはとても言えないなとは思っていましたが、最後のほうは通販の宣伝するような気持ちで宣伝ツイートを作っていました……。
全然人がいないかもしれないな、箱を引き取りにいくぐらいの気持ちでいくか、という心持ちで行きましたが、実際にはそれほど閑散としているわけでもないのに人と人との間隔も広くとられており、入場規制もしっかりしてくれていて、こんな状況のなかでも最善の処置で開催いただいたなあと思っています。
(ただ、わたしもこのイベントがもしも自分の住んでいる都道府県で開催されたものでなかったら、おそらく出店を取りやめていたと思います)
公式発表によると、今年の参加者さんは3,000人ほど。去年11月のイベントでは6,000人で、基本いつも右肩上がりだったことを考えると、やっぱり異例に少なかったと言えそうです。
わたしのように出展者一人参加でブースからなかなか離れられずお買い物できない参加者もいたでしょうから、3,000人と一口に言っても、なかなか「買いに」動ける来場者の数は少なかったのかもしれないと思います。(にしては、かなり売れてくれたなぁという感触です)
そして一点、もう本当にこれはしょうがないことなんですが、やっぱり見本誌コーナーがないのは、(売り手としてというよりも)買い手としてつらいものがありました。小説というものは、表紙では結局のところ中身がわかりませんから……立ち読みしたい、それもじっくりやりたい、という希望を叶えてくれるのが見本誌コーナーだったと思っています。実際、過去のイベントでは、「見本誌コーナーでさっき読んで来ました」という人も多かったですし、わたし自身もTwitterで事前に調べていたの半分、見本誌コーナーで発掘できたもの半分、という感じで買い物することが多かったです。ブースでの立ち読みも正直普段よりも相当気後れしましたので、「偶然の出会い」みたいなものは殆どありませんでした。一作だけかな……。そういえば、ブースをある程度全部見ているような方も今回は少なかったなぁと思います。
普段と人の数が変わらないような気がしたのも、もしかしたら見本誌コーナーがなくなっていたからかもしれません。みんなブースを見に来るしかない状況だった、というのもあるかなあと……。
(カレー屋さんもいらっしゃらなかったから、昼休憩しながら本を読んでいる人もいなかった。これはただのノスタルジーの吐露ですが、本を買ってる人と本を読んでる人しかいない文フリの空間がとてもすきでした)
このように、一日おきに状況が大きく目まぐるしく変化する、非常に大変ななかでイベントを開催いただいた運営の方には、ほんとうに心からの「ありがとうございます」をお伝えしたいと思います。
今振り返っても、よかったなあ、いい一日だった、と思いながらも、やっぱりまだまだこの感染症はおさまっていないということを改めて強く実感いたしまして、今後のイベント参加などにはもう少し、色々と慎重になろうとは思っています。でも、とにかく11月22日はとてもいい日でした。ありがとうございました。
本について
感染症の話そろそろ終わります。新刊の話でもしようかな。
二つ新刊だしました。「Polaris」と「一白界談(ホラーアンソロジー)」。
どちらもたまさん装丁のほんとうに美しい本だ、、 pic.twitter.com/XhxFJTKI14
— mee@文フリ【オ-17】 (@particle30) 2020年11月22日
Polarisはかなりいい本に仕上がりました。これを見られただけでも2020年生きてきた甲斐があったなあ。と思うほどのものでした。この世界にこの本があるということを心の支えに生きていきます。と言いたいぐらい、ほんとうにそう言いたいぐらい、綺麗な本になった。(tamaさんありがとうございました。)
かなり薄い本なのに1,000円という可愛くない値段設定で申し訳なかったのですが、箔押しと小口染めとを駆使していたらこんなことになってしまいました。でもとても気に入っているし、きっと手に取って下さった皆さんにも気に入っていただけるのではないかと思っています。もともとWEB掲載の作品なので、安くできる範囲のもので刷って売ってもしょうがないというか、薄いなりに色々豪華な本にしたかった。ウォーター箔押しは上手くいくかどうか本当に心から心配していたんですが、かなりいい具合にできてよかったです。運がよかった。たまたまイメージ通りに仕上がった……。
#文学フリマ #文フリ #文学フリマ東京 #文フリ東京
— mee@文フリ【オ-17】 (@particle30) 2020年11月22日
こっちの本もすごい綺麗なんですよ、、
恋愛小説です! pic.twitter.com/ilRapauMt5
いまちょっとPolarisのラストとあとがき読んできたんですけど、本当にサイコーでした。あと、なんとこの小説、同人誌のくせに生意気にも「解説」がついています。理科の解剖レポートを読むようなお気持ちで、ぜひ、Polaris読了後にお楽しみくださいね。maruyaさんに解説かいていただきました!
そして一白界談。
#文学フリマ東京 【オ-17】#文学フリマ #文フリ #文学フリマ
— mee@文フリ【オ-17】 (@particle30) 2020年11月22日
ホラー99連発の「一白界談」、フルカラー+クリアカバーです。ぴたっとつけると少しお骨が透けます……裏表並べるとこのような感じ。素敵! pic.twitter.com/QdPn4HvWqk
ここ三カ月ほど、ほぼずーっと取り組んでいた本です。(Polarisの改稿とかtamaさんの誕生日本とかmaruyaさんの誕生日本とかを挟みつつ……)
クリアカバーをつけて並べていると、このレイヤー感が、どこか水槽の中みたいに思えて、窒息しそうな息苦しい文字数の多さも相まって、なんだかほんとうに呪いが閉じ込められているみたいで、どこか、少女のこの表情は遺影にもふさわしい気がして、美しすぎて怖くなっちゃうような何かがあって。とても好きです。
この本には、とにかく書き終えるということの大切さを教えてもらいました。文章を書くリズムみたいなものも付けてもらった気がする。自作にたいしてこのような言葉を贈るのも変ですが、ほんとうにありがたいというか、恩師に対して感じるような思いがあります。この子についてはまた別途記事を、ゆっくり、とてもゆっくり書きます。
さいごに。
今後も、同人誌即売会に限らず、いろんな人の集まるイベントやお祭りが開催されることと思います。これからの日本のためにも、対策を取ってできうる限りで参加したいと思う時もあれば、そんなことはとんでもないと思っているような時もあるでしょう。こんなに一日単位で国中の人の考えが変わったりするような状況は、ストレスがかかりますし、とても疲れるのですが、またその時々の状況に合わせて、安全第一に、できるかぎり慎重に、少しずつ楽しみを見つけていけたらと思っています。
そういえば当日会場には来られない方にも、すこしは”お店”っぽく本の紹介でもしようかとお品書きサイトも作成いたしましたが、あんなものがあってもリアルイベントの良さというものには少しも近づくことができません。だからこそ、文学フリマのようなイベントが、安全に、日本中のみんなで集合して開催できるようになる日がくることを、心から願い祈っています。
その日までに、また新しい本を作ろうと思います。
ああそうだ忘れるところだった……。部数のことは、ビジネスでも利益を求めているものでもないからこそ、あんまり公開の場所に書くのはなあと思う自分もいるのですが、実際そういった皆さんのブログ記事に自分がどれほど助けられたかと思うと、生々しくない程度に多少は書いておこうと思います。
合同誌もあり、仲間に許可を取っていないので細かいことを書くのはやめておきますが、全体で20点ぐらい売れました。普段はもう少し売れるんですが、ただ、安い本のほうが売れているので……これほど高い(2,500円)新刊もあるなかで、この状況下でこんなに売れたというのはかなり快挙に近かったのではと思っています。いつも売れてる既刊は、何故か今回は殆ど出ませんでした。(※というわけで、「売上額」でいうと多分過去最高だと思います)
内訳としてはPolarisは目標部数には届きませんでした。が、薄くて1,000円と高い本なので、まあ当然かなあという気もしています。表紙と装丁がめちゃくちゃいいので、見本誌コーナーがあれば多少だれかに見つけてもらえたかもしれないと思うとすこし寂しい気持ちもあるんですが、まあ、薄い本なので、わたしの机の下にきれいにすっぽり収まりますので、誰かにお会いできるその日まで、もう少し眠っておいてもらおうと思います。(高いので「標本」みたいに気軽に配れないのが切ないな……)
一白界談は、動画効果や表紙効果も相まって、Twitterから来てくださった方も、その場で足を止めてご購入下さった方もいらっしゃるような感じでした。 でも、やっぱり普段のような、じっくり立ち読みして買っていくという方は少なかったかなと思います。このぐらい売れたらいいな、と勝手に目標にしていた数字もクリアしまして、ほっと安心しています。残りは、テキレボEX2と、あと通販で細々と売っていけたらなぁと。
2020年は、個人的にはいい年になりました。2021年、2022年も、同じぐらいいい年にできるかなあ。と思うほどの。
本当にありがとうございました。