青空文庫の人気ランキングを上から順に読んでいく
※こんなことを夏休みやろうとしていたみたいなんですが、たぶん数日でやめてます。挫折(というか中断というか放り投げというか)の記録をここに残しておきます。
ーー
夏休みの宿題をやりたいが、大人になってしまったせいで宿題を出してくれる人が一人もいない。仕方ないので自分で自分に出すことにしました。
宿題:青空文庫の人気ランキングを上から順に読んでいき感想を書く
・基本的には上から全部読む
・ただし、長編&読んだことある&内容かなり覚えてるものはスキップOK
・読まなかった場合も一応感想は書くこと
・内容忘れてる場合は既読でももう一度読むこと
始めます。
1位:アメニモマケズカゼニモマケズ
何故これが一位なのだろうか。「雨にも負けず風にも負けず……次何に負けないんだっけ?」って思い出したくなって検索する人が多いのかもしれない。
そういえば最初にこの詩を読んだときは「ふーん、この著者の時代にはひらがなを使わずカタカナを利用するものだったのだな」とか思ったものだったんですが、宮沢賢治って他の作品では普通にひらがな使ってるしそんなわけなかったなあと思い直した。でも調べてみたところ、やっぱりカタカナのほうが先に習う文字だったり簡易な文字とされていた(カタカナ+漢字で文字を書くことが特に男性は多かった)というような時代背景はあるようだ。
この詩と同じようなことって子どものころには一度は思うような気がする。空気のような人になりたいというか、別に感謝されたいわけじゃないんだけど、いなくなったら突然困って皆が気付いて慌ててくれるような人になりたいということ。ごんぎつねになりたいというか、自己犠牲精神というか。一種のヒーロー願望でもある。
そして最後のナムナム念仏が怖い。いったいどういう心境の詩なんだ、と今さらながらに調べてみたら、結構精神的に追い込まれていた死の直前に、(作品としてではなく)自分の手帳に書きつけていた自分に向けてのメモのようなものだったらしい。となると念仏と前半の詩は繋がっているのかどうかすら怪しいじゃないかと思ったりもする。(手帳の日記の続きに、そのままの流れでなんとなくまったく関係ない雑学メモを残したりとかみんなしますよね)
たまに、道徳や良心というのはいったいどうやって無垢なる人に教え込めるものなのかなあ、と思ったりすることがある。人を助けましょう、優しくしてあげましょう、誰かを差別してはいけません、寛容の心を持ちましょう。全部正しいと思うけど、でも、なんでそうするの? って聞かれたときに、実はわたしは答えられない。「そうするほうがいいから」という理由しかなくて、しかもその「いい」って言葉も、誰にとっていいことなのか、なにがどうあっていいことなのか、ひとつも説明できないでいる。だからこの詩が、無垢なる誰かのこころを動かしてその土壌の奥深くに、道徳の種をむりやり埋めてくれたらありがたいと思う。
2位:山月記
ぼくは今まで「李徴」を「りび」と呼んでいたことをここに告白したいと思う。
ほんとは自分の人生やってかなきゃいけないところ、かわいそうに虎になれたおかげで、罪悪感なく現実を棄てることができた人。実はこの虎のことがすこし羨ましい。
ところで、「自分が価値がある人間だということは、実は自分だけが知っていればいいことだ」という価値観をわたしは持っている。自分がいい人間であること、なんらかの才能を持っていること、愛を知っていること、仕事ができること、そういうのは自分だけが知っていればいいことで、「自分という人間には価値がある」ということは、自分がよくよく理解できていれば他者に知らせる必要など全くないことだ。誰にとっても自分自身の価値がいちばん大切なので、それを他者に知らせようとしてなんらかの摩擦を生みかえって自分が傷ついたり、あるいは他人の自認の自己価値というものを損なわせてしまったりすることがあるが、そういうのは本当に何の意味もないただの事故であり、本当は各個人個人が「自分には価値がある」と信じていられるのであれば、それを互いに知らせ合う必要はそんなにない。まあ、だが、そうはならない。
あまりに現実的な描写をすると伝わらなくなってしまうことを、「虎になる」という大胆なファンタジー通してうまいこと読者に丸呑みさせる良い小説だと思います。短いし、知らない単語多い割には意味が掴めて読みやすいし。
ーーー
三位のこころと四位の羅生門までは実は読んだ&書いたはずだったんですが、多分保存ボタンを押していなかったせいでデータが飛んでるっぽいです。(というか二位の山月記も、もうちょっと何か書いてあった気もするのだよな)
いまさら書き直す気力もないので、一旦このままで。