@particle30

惑星イオはどこにある

百物語アンソロ「一白界談」における自作の説明(mee)

 

「一白界談」という百物語アンソロジーを、2020年11月に発刊しました。(同人誌)

 

*今、何年?(答え:2022年)というかんじだとおもうんですが、しばらく本記事もあたためておりました。そろそろ出します。宜しくお願いいたします。

 

 

▽公式サイトはこちら

一白界談 - 放課後文殊クラブ

 

maruyaさん、tamaさんとそれぞれ33話ずつ、計99の物語を綴じた一冊です。その本について、自作分について説明(というほどのものでは全くないが)の記事を書きました。

 

わたしにとってこの本は、大切な友人と一緒に作った自由研究のようなものであり、人生で最も思い出深い一作であり、ひと夏の思い出であり、かつこの本のために書いた作品が改稿ののちとある新人賞で(賞は取れなかったものの)一定の評価をいただけたという意味で成長の階段を作ってもらった親のような一冊でもあります。

 

 

 

 

 

▽というわけで以下は「一白界談」のネタバレばかりだよ

 

 

 

 

 

 

 

まずはオススメセットの話をします

 

この本、太いですよね。

というわけで、あなたのタイプごとにオススメセットをご紹介します。
 

本格ホラーシリーズ(7選)

1.渡り廊下の女生徒

5.ヤドムシのけんきゅう

23~25.奥ツ城シリーズ

29.黒い先生

86.ガッコウノカイダン

 

ホラー体験談!セット

怪談を直接聞いているかのような気持ちになるセットです 

8.カルミア

9.職員室の前

31.同級生のりかちゃん

33.僕が死んでも

75.キムラサン事件

 

怖さ控えめ! カジュアルホラーセット

ホラー本を買いはしたものの、ちょっと実は怖いのが苦手だとか、夜眠れなくなるのは困るのでいったん今は怖くないホラーを読みたいとか、皆さま色々ご事情はあるでしょう。ということで怖さ控えめセットがこちらです。(「控えめ」なだけなので普通に怖い一行とかもあります)

34.エピタフのアドバイス

36.物分かりのいい人

61.ヒゲゲゲン

63.キムラください

66.一蓮托生

97.月のない夜に 

 

 

これから読む人向けっぽく書いておいてなんですが、どちらかというと読了者が「たしかにこの話めちゃくちゃ怖かったな……」とかとか納得して遊んでいただくために書きました。

 

担当しました33話分について

 

以下が担当分の33作です。読了者向けです。

 

教育理念:キャッチ―に読みやすく序盤に使いやすいようにと思って書きました。「名乗り」で伝聞で出てくる「響子先輩」はこの子です。

カルミア:33話の中盤、ここらで自分らしい話を書かないと死ぬ……と思いながら書きました。藤田くんが頑張って電話インタビューしたんだと思います。

職員室の前:わたしの思うインタビュー風ホラー。「名乗り」中でも話名が出ています。美術教師の斎藤はちょこちょこ出ています。

おばあちゃんに会いたくて:身近な愛する人が、死んでしまったあとは自分と違う秩序のなかで思考を行うということ。

ひとさらい:美術教師の斎藤が出ています。他でも何度か出てる。

Kopernikanische Wende:コペルニクス的転回のこと。タイトルを考えるのが本当に苦手です。この話は書いたのも終盤で、最後まで苦しんで書いてました。

ユウのスカートが揺れる:タイトルを読み返さないとオチ(というか裏設定)に気が付かないのでは、という感じの話です。

返礼と注釈:自分ぽい作品を書きました。あまり怖くはない。「果たして彼は其処にいた」1回目です。死んだ直後ぐらいの話なのでしょう。

エピタフのアドバイス:これも自分ぽさ重視であまり怖くない。即興小説ぽい。

物分かりのいい人:tamaさんこういうの好きかなと思ってtamaさんのために書きました。(創作煮詰まった時、こういう風にたった一人のためだけにお話を書く策は非常に効果的です)あまり怖くない。

水揚げの魔法:読者を犯人にするミステリに憧れているので書きました。時間シリーズ。(多分他にも2つぐらい不穏な時間シリーズがあります)

あの子はだあれ:怪異をとりまく周囲も含めてなんかこわい、という話を書きました。

美術室:場所シリーズ。タイトルを考えるのがつらすぎて、タイトルから逆算して話を考え始めました。

理科準備室:やっぱり怖い理科準備室。人体模型は他の話でやっちゃったので、こちらは水槽で。

図書室:33話あるので、色んなテイストのを書きたいと思い、けっこう外してみた一作です。ちょっと海外文学ぽく。

グラウンドの百葉箱:初日のアイデア出しの時からネタがあった作品でしたが、いまいちオチが難しくて最後まで苦しみました。

ごみ焼却場:「名乗り」でも使いました。

百物語は夏の季語:33話書くの無理じゃない……? と苦しみの中にいたときに、なんとかして楽を出来ないかと考えていたら短歌アイデアが出てきました。

すべての赤子には祝福が贈られる:イヤミス的なもの。星新一的なもの。maruyaさんの話の後ろにウキウキで置かせていただきました。

魂は彼の胸に:このタイトルなに? 「藁しべ長者」がタイトルかと思っていました。

救いは愚者にのみ訪れる:唯一、説明がないと実際に起きていたことがよく分からない作品だったので解説の場所を得られてよかったです。実は狛犬の像のなかには生きた人間が入っており、その人が声も出せず救いを求めて生徒らをぎらぎら見つめていたのですが、思いは届かず死んでしまい、しかも執念で像に張り付いていた目玉まで少年に棒でつつかれ落とされてしまい、もう彼もしくは彼女に気が付くことのできるチャンスは永遠に失われてしまったのでした、チャンチャン、でも愚者である少年たちは何にも気が付いていないから幸福です、という話でした。

意識の超難問:左右というものを、夢と現実というものを、本当と偽りというものを、わたしは真実きちんと理解しているのだろうか、みたいなことを考えながら書きました。怪異側視点です。

足之遠足:足たちが躍っている、というここだけ見るとちょっと恐ろしい話です。ラストページに仕掛け(本当は存在しない幽霊文字が一文字入っている)がしてあります。

幽霊文字:「足之遠足」の仕掛けはこの小説のために置きました。

パプリカ:おいしい物語です。すこしずつ生まれる話が好き。人体がまるごとじゃなくて、パーツごとに生まれてきてあとで合体したら怖いなあと思ったんですが、そのまま書くとグロテスクなのでこのようにしました。

ジャボチカバ:これはおいしい×眼球という最高のSSです。実在の植物で、母校の温室でも飼育(栽培)されていました。ちょっと怖い見た目かもしれないので検索される際はお気を付けください。

野生の思考:書き順ではラスト作でした。絞り出した最後の一滴というか、そういう感じがするでしょう、皆さん…… タイトルはレヴィ・ストロースの名著からいただきました。人間は交換する生きもの。

予告:映画の予告CMみたいに、他の作品の話をするようなものも入れたくて書きました。

N氏と足音:拙作中で僧侶が出るのは今作だけかもしれません。

籠の鳥:この作品のように、一度も改行されない見開きページのある作品を「絨毯」と呼んでいます。

満潮の湖:maruyaさんリスペクトして金魚を書きました。

ピクトグラフ:最後のほうに苦しみながら書いた思い出しかありません。

名乗り:9月まるまる使って書きました。続きはこちら

 

 

 

とかやってたらmaruyaさんが99話分書くって言いだしたからわたしもやります。話順決めのときの話もあわせてできればなあと。(2022年注釈:このまま一年半ぐらい塩漬けになっている気がするので、途中ですが公開いたします。)

 

渡り廊下の女生徒:全ての原稿が出そろうまえにぼちぼち話順決めや編集作業も始めていたんですが、どうしても最初の話が決まらなくてもやもやしていた時に提出されたのがこちら、「渡り廊下の女生徒」。これじゃん!!!ってなって一話目に置かせていただきました。わたしにとって母親のような作品です。「ゆうすけ」って名前がとても大好きです。ある意味一行だけで説明しきれる恐ろしホラー。こういうのがとても好きです。チャイムの音から始まるのが天才的だと思い、その件についてはすでに十五行ぐらいで語って作者さんにお渡ししてあるのでここでは省略いたします。「名乗り」の中にもご登場いただきました。

教育理念:自信があるので序盤に置きました。(本当は自分のは三話目がよかったんですが、「匣」は三話目ぐらいかな~と思ったので)

匣:maruyaさん作品のなかの最初はこれがいいということだったので、ここに配置。これから怪談を読む人間への脅しのような文章ですよね。

真夜中の公園:冷たくて、霧が出ていて、湿っている。なにかが起こる予感しかない。たまさんの作品が本当に好きです。ひたひたとやってくる怪異の足音。

ヤドムシのけんきゅう:ほんとに気持ち悪い(誉め言葉)。プロ意外の作品読んで「ほんと気持ち悪いな」って思ったのは初めてでした。

夜の海に取り残されてしまったので:最高のタイトル堂々第一位……ほんとうにいい。ほんとうにすごくいいタイトル。タイトルがいい小説はぜんぶいい。綺麗で、透明で、でもしっかり怖い。とっても大好きな作品です。本当に余談でしかありませんが、この作品が良すぎて良すぎて、人生で初めて背景あり+人体のデジタルイラストをファンアートとして描きました。今年になってからそこそこ絵を描いているのは、あの時死ぬ思いで一枚描きあげたからだよなあと本当に切にそう思います。(余談すぎる)

物分かりのいい人:33話も書いていると、この話誰が読むんだろう? とあの闇が何度も襲ってまいりまして……でも、一緒に書いてるtamaさんとmaruyaさんは少なくとも読むんだよなあ、と思い、せめてどちらかに刺さる話をと思ってtamaさんのことだけを考えて書きましたが、どのぐらい気に入って頂けたのかはよくわかりません。

水揚げの魔法:切り花って、首のようでもあるし、腕のようでもあるよなとよく思っていました。

つながる電話:え!?なに?なにが起きてるの!?と大騒ぎした作品。maruyaさんの記事で解説されてると思うので是非チェックください。

あの子はだあれ:夜に突然襲ってくる化物とか、首の取れた人間とか、そういうものって、とても怖いですよね。でも、怖いものを見たはずなのにそれを覚えていられないとか、あきらかに人間ではないものがいることを皆受け入れているのに平然としているとか、そういうのも結構”怖い”んじゃないでしょうか。と、恐ろしさのバリエーションを広げるために書きました。

ゾウヘイキョク当番:こ、怖すぎない……? と思いました。

ガッコウノカイダン:な、なんと二階と藤田を出していただいております!わたし、結構この作品が「一番怖かった」かもしれなくて、読んでいて一番痛切で恐ろしくてなんだか泣きたくなっちゃったのはこの作品でした。

棒の手紙:もー怖いよこれー。と呻きながら読んだ。深夜4時ぐらいのとっても頭の働いていないなかで読むと本気で怖かったです。

ピクトグラフ:シュールレアリスムみたいなものを書きたいと思いました。すこし数学的な作品というか、記号的な要素のある物語というか。

月のない夜に:たまさんもこういうの書かれるんだ!とウキウキしてしまった作品です。たまさん作としては最後に置かせていただきました。エピローグみたいで素敵ですよね。これ公式アート来ないですか?

名乗り:がんばりました。一カ月ぐらいかけました。

ものかきといふばけもの:もー、ここにきてこんなの書いちゃうの? ほんとうに天才です。こういう独白のような忠告のような物語が大好きです。

100話目:三つぐらい案を出して、お二人にどれがいいか選んでもらいました。

 

 

 

最後に

 

話順については、エモシリーズ、(あくまでも文体が)カジュアルシリーズ、食べ物シリーズ、場所シリーズ、とかとか、シリーズごとに固めたり、お話同士の要素の繋がりを考慮して順番を決めました。

 

最初から順に読める方は最初から、もしくは目次を見て気になるお話をつまみ食いにて、どうぞお楽しみいただけたらと思います。

 

 

 

*元々、maruyaさんが「担当の33作分の解説記事書く」「ついでだから99話分の感想も書く」っておっしゃってたので便乗した記事でした。パクリ先のほうが先に世に出てしまった。maruyaさんの記事も楽しみにお待ちしております。