@particle30

惑星イオはどこにある

0310-0311 休日メモ

美術館や博物館に行ったら、行ったぶんだけなにか残しておきたい、と思ったので書いてみました。

※いつもと違って本気でただの日記になります。しかも長い。すみません。

 

■至上の印象派

www.buehrle2018.jp 

この展示にわたしが行かないわけがないのだが、というぐらいツボ。

 

ほのかな恋心を由来として、ゴッホの絵がありそうな展示には片っ端から行くことにしているのですが、本展示は一室分がまるまるゴッホにあてられていてたいへんすばらしかった。浮き上がる絵の具のうごめきとおぞましさ、彫刻作品みたいでとっても素敵ですよね。先日もゴッホの映画を見たばかりだったので、「種を撒く人」が見れたのはとてもよかった。(仕事帰りに行ったら、ねむくて大事なところ5分ぐらい寝ちゃったけど)

 

あと、以前ブログにも書いたとおり、最近はモネにもはまっていました。

夏にフランスに行くときにモネの庭にも行こうかな、どうしようかな、と悩んでいたり。

(※でも、わざわざ初フランスで行くほどのところでもないような……)

 

音声ガイドは、井上芳雄さんだったので躊躇わず借りることに。先日ダディ・ロング・レッグスの素敵なジャーヴィス役を拝見してからというもの、ひそかにファンなのです。


混雑してはいるものの、思っていたほどではなく、多少待てば絵の前に立てる程度。まだ会期前半だからこの程度で済んだのでしょうか、ご興味のあるかたは早めに行った方がいいかもしれません。最近視力があまりに悪くて、なかなかパネルの小さな文字をちゃんと見られないのですが、この日の混み具合は「きちんとルートに沿っていけばパネルや絵の前を通れる」ぐらいだったので、ゆったり歩きつつガッツリしっかり見れました。

 

最初のほうで目に留まったのはドミニクの肖像画。とても美しいなめらかな絵のとなりに、すこし下書きらしい絵が飾られていて、何の対比なんだろう? と不思議に思いましたが、パネルや音声ガイドによると「普段は精密に丁寧な仕上げをする画家だが、これは奥さんのためにささっと描いた絵」なんだとか。

画家本人にとってもさまざまな絵があるのだよなあ、と。丁寧に書かれた絵のほうが、やはり凄い感じはするのですが、奥さんを描いた絵だと知ると、なんだか愛情がこもっているような気がしてより長く見てしまいました。(このようにわたしは簡単な精神をしている……。)

 
その後もマネ、モネ、ルノワールドガピサロなど、さまざまな画家たちの絵が並んでいき、これだけのコレクションを精力込めて収集した人がいるということがなんだか信じられませんでした。ルノワールの描くふんわりとした世界観はやはりいつも可愛らしく、むかしはあまり好きではなかったのですが、数年前のルノワール展で「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」を見てからというもの、そしてかれの「絵画はつねに愛らしくかわいらしいものでなくては」という言葉を読んでからというもの、なんだかいつも気になる画家のひとりです。ちなみにわたしは喫茶店のルノワールが好きです。(ほんとうに関係ない)

そしてなぜか一番気に入ったのはドラクロワの「アポロンの凱旋」でした。皆さんあまり関心がないようでささっと通り過ぎれていかれていたし、ポストカードもなかったのでひょっとするとこんなに好きなのはわたしだけなのかもしれませんが、ものすごくよかったです……近くで見ても離れて見ても素晴らしかった!いつかもう一度会いたい。

シニャックのうるわしい点描画も堪能できました。シニャックと、あと名前を失念してしまったのですがもう一人の画家とが、時代は違えど同じ聖堂院を描きました、という見せ方で2枚の絵が並べられていたのですが、もう一人の画家の方が描いた絵があまりにうますぎて綺麗に撮った写真のようにしか見えず、なんだか「絵を見比べている」というよりも「この絵のモデルはこれです」と元写真を見せられているような気分に。あとで売店でポストカードを見てみましたが、小さいところがつぶれてしまうともう本当に写真にしか見えない……しかし、写真がない時代には相当重宝されたでしょうね。(いや、別に時代がいつであれ写真のような絵を描ける人はすごいのですが、風景を写し取る代替手段が絵画のほかにないという独占技術の問題で。)

そしてメインのルノワールのイレーヌ嬢。可愛らしい。可愛らしい! が、割とそれだけでした。あまりに可愛らしいが……。となりにあった、ルノワールが晩年に描いたという裸婦の絵は、音声ガイドによるとかなり手もおぼつかない中で描いたとのことで、生への執着のようなものをかんじてしまいそちらのほうが印象に残っています。しかしイレーヌ嬢のような絵を見ると、肖像画の文化って素敵だなあと思いますね。現代日本でも小金持ちはどんどん肖像画を描いてSNSのアイコンにしたりしてほしい。かわいい。

そして後半はセザンヌへ。昔は良さが分かりませんでしたが、さいきんほんのり少しずつ好きです。「赤いチョッキの少年」がたいへんよかったです。構図が美しすぎる。ずっと見ていられる。。そういう力がある。この少年の付箋もポストカードも買ってしまいました。(アートパネル購入まであと一息だったぞ。)

その後ぐらいにゴッホの部屋があったような気がします。(ゴッホ、あまりに好きすぎて最初にほとんど書いてしまったような気がするな! あまりに好きです)
肖像画も素晴らしかったですし、「花咲くマロニエの枝」もかなりサイコーでした。何年でも見ていられる。。。うん十万円のコピー絵(絵具の立体感も、3Dプリンタで再現されている)があって、こういうことにお金を使うべきなのではないか……? と一瞬血迷いましたが、10秒ほど瞑想して気持ちを落ち着けました。

終盤はゴーギャンやブラックも。ゴーギャンのひまわりは感情をつよくゆさぶりますね。なんだかもう絵を見て感動しているのか背後のストーリーに感動しているのか分からないレベルになっている。ブラックはいつもとても好きなんですが、ピカソは「色のバランスうまいなあ」ぐらいしか分からないので、いつも通り「うまいなあ」と思っただけで通り過ぎてしまいました。ぐーんとゆさぶられたことがないが、とつぜんモネが好きになったみたいに、いつかピコーンと分かる日がくるのだろうか。そんな日がいつかでいいので来ますように。

そしてモネ。最後の睡蓮の絵! ものすごかった。たしかにものすごかった……けれど、大きい分なんとなくざっと描かれたような印象をうけて、いや、もちろんものすごい(※3回目)のですが、先日見た「睡蓮の池」のほうがつよく訴えかけてくる感じがありました。どうしてかしら。ここは撮影可能ルームだったので、なんだか落ち着かなくてあまり長く見れずサクッと退散しました。最近は撮影可能展示多いですよね! やはり口コミ効果で集客への好影響があるのだろうか。経済がまわっている感じがしていいですね。

話がお金の方向にそれてしまいましたが、モネ、やっぱりこの人は盲目的に自分の身の回りの風景と幸福を愛していたのだなあ、という感じ。ルノワールもそうなのですが、愛らしいもの、美しいものに対する執念や愛情の盲目さがみてとれるのがとっても好きです。


総じて、たいへんよい展示でした!
この二日間で4つ見ましたが、やはり一番気に入った展示でした。さすが新国立美術館。すばらしかった。

■全日本水墨画秀作展

実はこの日、友人に30分ぐらい遅刻されたので、印象派展の直前に空いた時間で3階の無料展示も見てました。

 

「書」はぜんぜん興味がないのですが、水墨画ならわたしでも楽しめるかも! と信じ入ってみることに。とはいえあまり時間はなかったのでするりと通りぬけつつ、気になるものがあれば立ち止まりつつ、という感じで鑑賞しましたが、なかなか面白かったです。白黒だけでこんなにいろいろ描けるんだ、とびっくり。

 

油絵とかだと、道具を触ったこともないので、どんなふうに混色するのか、どんなふうに描いていくのか、間違えたときにどう修正するのか(えぐったりできるの?)とか、分からないことばかりですが、さすがに墨絵となると、筆と墨で描いたんだよなあこれを……と想像がたやすいので、これだけの大作を仕上げる力のすごさが分かります。何度か間違えたりしたのかしら。墨こぼしちゃった子いないのかな、とか。

 

展示を終えて出たところで、「19歳の少年が書いた”恐竜の”絵があります」というポスターに気づいたのですが、「恐竜の」のところ、明らかに上から紙を貼って訂正された跡があったのが面白かったです。あんまり熱心には詮索しなかったけど、たぶん元々は「犬の」なんたら~と書いてあったような気がする。

■カフェ・ド・ラペ

とつぜんカフェの話が始まる。休憩のため、Twitterで「印象派展」の検索したときに、どなたかが呟いていたカフェ・ド・ラペへ。

 

なんとなくですけれど、同じ展示を見に行くような人とは、同じカフェを愛せるような気がしています。

(って、「印象派展」ぐらいになると範囲が広すぎるかもしれませんが)

 

味がレトロでたいへん美味しかったです。(カフェインがちょっと強く、のちのち水で薄めないと辛かったですが、これは自分の体質のせい)

 

庭にあこがれますよね。とても可愛らしいカフェで、庭園調のインテリアが素敵でした。

 

■ルドルフ2世の脅威の世界展

www.bunkamura.co.jp

印象派展後、友人がまだまだ見足りないというので、はしご2軒目。

 

Bunkamuraは初めてだったのですが、壁紙の色や模様がかわいかったり、ミュージアムショップが充実していたりでとても好きになれました。美術館の出口すぐに本屋さんやおいしそうなレストランがあるのもいいですね。渋谷ってなんだかあまり行きませんが、わりと近いし、もう少し頻繁に足を運んでみてもいいのかも、と思いました。

 

音声ガイド付きで鑑賞。ガリレオ・ガリレイの弟が作曲したという曲を聞きながら赤い壁で囲まれたなかを進んでいくと、なんだか名のある貴族の家の廊下で楽しませてもらっているみたいな気持ちになれました。(まさに「驚異の部屋」!)施設全体が大きすぎないので、個人の邸宅のような印象を受けるのでしょうね。

 

先日、大英博物館展がありましたが、あのときにも「驚異の部屋」には憧れを抱いたものです。作中でだれかに個人博物館を持たせようかしら。リュエルは魔術士専門の史学家という設定なので、ひょっとすると不思議な品を私邸に収集していたりするかもしれませんね。

 

そして、「曲だけ」聴ける音声ガイドっていいですよね!(願わくばリピート再生機能もつけておいてほしい。もはやウォークマン

 
ちょっと奇天烈な雰囲気だったのもあり、なにかしらの着想を得たのか、メモには謎のみみず文字が躍っておりますが何を書いたのかさっぱり思い出せません。いつもこうなんですよね。メモる必要あるのかしらもはや。

そうだ! ドードーがいました。作品数は少ないながら、音声ガイドでもしっかり取り上げられていて、グッズもあって。ドードー、キャラクターとして大人気ですよね。わたしも好きです。なにをあんなにかわいらしく思うのか分かりませんが、初めて剥製を見たときには、この生き物がもうこの世界のどこにもいないということをものすごく残念に思いました。

 
あとはガリレオ・ガリレイケプラーの作品も多く、博物館のような気持ちでも楽しめました。昔は天文学者と物理学者と魔術師と錬金術師の境がうすかった、という話、ロマンでしかない。

そしてサーフェリーの絵が図鑑のようでうるわしく。ルドルフ2世がお気に入りなのもうなずける。皇帝自身はほとんど外には出ず、ただ作品や標本を集め続けた、とのことですが、こんなに面白いものに囲まれて生きていたら、たしかに外になんて出なくていいという気持ちになったかも。

そしてほぼラストに、目玉のアルチンボルドアルチンボルドは花の絵と海洋物の絵がいっとう凄いと思っているので、野菜しかないのは少し切なく……野菜もじゅうぶん見ごたえのある絵なのですが、できればまた花も見たかったなあ……と残念に思いました。(ルーブル展でまた来るそうですね!)
しかしこの展示の流れだと、野菜の絵がルドルフ2世にとってどれほどの価値、そして重きを置くべき絵だったのか、という部分が理解しやすく、普通にアルチンボルドの他作とドンと並べ置かれるよりも野菜だけに集中できたので、これはこれでよかったのかもしれません。

アルチンボルドの絵を模した立体物の作品などもあって、しっかりガッツリ楽しめるよい展示でした。なにより撮影ポイントが最後のショップ領域にあるのがいい。どうしても撮影ポイント付近はカジュアルな雰囲気になってしまいますからね……いっそショップ側にあるほうが嬉しい……。

若干目玉が少ないように感じましたが、雰囲気や音声ガイド含めてたいへん楽しめました。また、ボードに書いてある文言や、中途にある映像展示もなかなか面白く、見ごたえがあってよかったです。

  

欠点を挙げるとするなら、照明のあたりでしょうか。あの違いってなんなんでしょうね。どの施設も同じように光が当てられている感じがするのに、なんだか見やすい美術館とてらつく美術館があるのだよな。。。

 

全体的に、博物館らしいような、陳列室らしいような、小ぶりでも面白い展示でした。

 

結論としては「やはりローマ皇帝の収集物はすごいな」「財力がすべてだな」という感じ。

 

仁和寺と御室派のみほとけ-天平真言密教の名宝-

ninnaji2018.com


行こうかどうかギリギリまで迷っていた展示。


最終日だったので、混んでいることは分かっていましたが、思い切って出かけてみました。
二時すぎまでぐだぐだ悩んでいた。こういうとき朝からスパッと行くことができないのが自分の嫌いなところです。

 

大体三時ぐらいに到着。時間がないので貸し出し列に並ぶのも惜しく、音声ガイドはなしで進みましたが、借りたほうがよかったかもしれません。

(知らなかったのですがいま空海の映画やってるんですね。そのキャストの方たちが音声ガイドやってました)

 

最初のほうはさまざまな書や歌の展示が中心。「書」におそろしく興味がないもので、見てもなんだかよく分からず、とりあえず漢字(のようなもの)を心のなかで黙読してみたり……。

 

パネルを読んでも、正直よく分からないものばかり。
うーん、と思いながらも、さいきん友人に「今まで興味が持てなかったものに触れてみよ」と箴言をいただいたばかりだったので、とにかくなにか感じられるものがないかと見つめてみましたが、結局なんとなくも分からないままでした。後醍醐天皇の書とか出てきたときはさすがに「おっ!」と思いましたが、しかしそれも「わたしは後醍醐天皇の書を一度見たことがあります」という経験作りぐらいにしか、ならなかったような気がする……。

 

昔の書って結構残ってるのね、とか、虫食いってこんな感じなんだ、とか思いながら進んでいきました。あと、梵字はいつ見てもカッコイイですね!

 

1展示会場は書や道具、第2展示会場は仏像メイン。書は分からないけど、仏像なら楽しく見られるのでは、と第2展示場に思いをはせ、時間がないことを理由に第1展示場の最後のほうは結構スルー気味で通りました。(といっても人が多くて、どの展示も立って静かに眺めるなんてことは出来ない状態でしたが)

 

Twitterで事前に行った方の感想を見てはいたのですが、やはり聞いていたとおりただただ人が多い。まあ最終日に行った人間が言えることではないけれど!w 第1展示会場のほうが、人が詰まってる感じがありました。

「普段美術館・博物館に行かなさそうな人が多かった」という感想を見かけて、どういう意味だろうな、と思っていたんですが、行ってみてなんとなく納得。年齢層が極端でした。年齢層高めの方もいれば、普段は見かけないようなお子さんもいれば。結構みんなベラベラしゃべるし、列は急かされるし、博物館、というよりは見世物小屋のような雰囲気でした。まあ混んでたしね。

 

2会場ではSNSで大人気の、仏像写真を撮れるコーナーもあったのですが、みんなパシャパシャ撮るのでメイン展示なのにゆっくり見れず。実際のお堂を再現されたとのことで、圧巻な感じもありつつも、でもなんとなく物足りないような気も。混んでたからですかね。でも、会期後半はわりとずっと混んでたみたいなので仕方がないのかも。ここもうるさかったです。たぶん仏像にとってもこれほどうるさい場所に長く留め置かれたことはないのではないかと!w

 

パシャパシャゾーンが終了したら、最後に仏像展示が数部屋続いて終了。この仏像ゾーンが、個人的には一番面白かったです。木造でこんなにきれいに作れるんだな~と。仏具ってやはり目の前に立ってみると、なかなかぐっとくるものがありますね。ちょっとでも横に角度がついちゃうとだめで、まっすぐ目の前に立つ。するとなんだか、像のまぶたはもちろん閉じられているのですが、しっかり見つめられているように感じて、すこしの恐ろしさとありがたみを感じました。実際にいくつかの像の前では手を合わせている人も多く、たしかにそういう力のある像だよなあ、と。

 

こんなに仏像に近づけることってなかなかないでしょうし、後ろ側が見れるようにぐるっと周りこめるように展示されていたのもよかったです。後ろ側になにかいい装飾がある、というわけでもないのですが、仏像の背後ってなかなか見れるものでもないので。

 

話はそれますが、ちなみにいままでで一番「すごい!」と思ったのは、三十三間堂です。とつぜん仏教に正式改宗しそうでした。本当にすばらしかった。あの像も後ろから見てみたいものです。。。

 

最後の目玉展示は千手観音。ほんとうに千手持っている観音はこれだけ! というお触れのやつです。これもぐるっと回れるようになっていました。どこから見ても手が伸びていて、細かい造作が本当に素敵でした。こう書くのも大変アレだが神がかっている。

 

展示の周囲で叫んでいる方がいて、こわかったのではやめに退散しましたができることなら数十分遠目でも眺めていたかった。こういうときに自分のむやみな繊細さがいやになりますね。(人が大声出してて怖かったから出るって。。。)まあでも、展示はすばらしかったです。

 

一緒に「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」という展示もやっていたみたいで、そっちのほうにもちょっと興味があったんですが、出た頃にはもう閉館してました。常設展示や併設展示があるところは早めに行かなきゃ損だな~と分かりながらも、なかなかいつも腰が重たい。

 

たぶん、「いつでも行ける」と思うからこうなんでしょうね。田舎にいたときとは比べ物にならないぐらい展示も多いし、選べるし。あんなに行きたかったジブリ美術館藤子不二雄館もまだ行っていない。いい加減にしたい。



ほんとうにただの自分メモになってしまった。
今月は色絵展に行ったり、映画をいくつか見たりもしているので、そのあたりも記事にしたいところですね。なにかしらこのインプットが創作にむすびつきますように。